![]() 世界を目指しての旅行記ほか by カズ@憧れの大地 |
中国での生活
留学の準備
1.大学選び
留学への第一歩は、言うまでもなく、留学先を決めることだ。それにはまず、どの地域に行きたいかということが、重要なポイントになってくる。
私の場合はまず、北京、上海を除外した。なぜ、中国最大の2都市が真っ先に外されるのか。それは、学費が高いからだ。「何をけちなことを」と思われるかもしれないが、何分にも私は、収入源を絶って留学に行くのだ。いい年して、親のすねをかじる訳にもいかない。
他の都市では、1年間の授業料が大体1500米ドル前後なのだが、北京、上海となると、相場は一気に2000~3000米ドルにまで跳ね上がってしまう。2年間留学したとして、その差は2000米ドル程になる。結構大きい。
次に、華南地方を除外した。北方の方が北京語に近い発音だということもあったが、それ以上に、暑いのが苦手ということがあった。5月に香港へ行った時、30度近いあの暑さの中、汗だくになって不快感を覚えたものだ。
私の場合、体調さえ崩さなければ、寒いのはまだ我慢できる。少し位寒いほうが、頭もさえて勉強しやすい気がした。かと言って、ハルビンあたりまで行ってしまうと、今度は寒すぎる。
そうした条件を踏まえ、私は留学先の都市を、大連、西安、天津、長春、保定あたりに絞り込んだ。
次はいよいよ大学選びだ。留学というのは、何かを学びに行くということだから、授業・教育内容が重要なポイントとなることは無論だが、留学にはもう一つ「海外で生活する」という側面がある。住環境すなわち学生寮(中国の大学は全寮制)がどのようであるかということも、かなり重要だ。私が寮に求めた条件は、以下の2点だ。
・自室でインターネットができること
・1人部屋が可能なこと
インターネットについては、このサイトを続けたり、メールで日本の知人たちと連絡を取るためにも、絶対に必要だ。また、中国語のニュースが分かるまで、日本の情報を入手するには、ネットに頼らざるを得ない。
1人部屋については、中国の留学生寮は2人部屋が一般的なのだが、私の場合、大学時代から13年という長い間、1人暮らしを続けてきたため、2人部屋にはどうしても抵抗があったのだ。大学選びの条件の中には、不純(?)なものも結構あったが、これはその最たるものだ。
まずはこれらの条件から、私は候補地として、東北師範大学、東北財経大学、大連鉄道学院、天津商学院、河北大学、西安交通大学あたりをピックアップした。
さて、肝心の授業内容だが、漢語進修生(語学留学生)の場合、大体は閲読、会話、聴力、作文といった内容だ。その中でも、私の目を引いたのは、東北財経大学の上級班で行われるという「貿易口語」というものだった。
はっきり言って、私は経済学方面については、からっきし駄目だ。しかし、これをいい機会に、少しは経済について学んでみるのもいいかもしれない。それに、留学後、どんな方面に進むか分からない。貿易口語を習得するというのも、悪くはない選択だ。
また、先生方は熱心で親切だという評判も聞こえてくる。加えて、東北財経大学の寮は、全室個室だ。私の気持ちは、一気に東北財経大学に傾いた。
しかし、歴史と三国志が好きな私としては、古都・西安の西安交通大学も捨てがたい。取りあえずこちらも第2候補ということにして、私は以上の2校の願書を取り寄せることにした。
2.願書提出
大学への願書取り寄せ申請は、留学情報本の巻末にあるフォームを利用。大学名と自分の名前、住所、電話番号等を記入して、エアメールで郵送する。
2週間後、まずは西安交通大学から封書が届いた。学校案内、入学申請書、健康診断用紙が同封されている。しかし、第1希望の東北財経大学から、なかなか返信が届かない。
(大連の方が西安よりも近いのに、なぜ…)
そんな事を思いつつ、首を長くして待っていると、西安交通大学に遅れること1週間して、ようやく東北財経大学からの封書が届いた。中には、学校案内と入学申請書の他に、1通の手紙が入っていた。
Hexing同学 (言うまでもないが、原文では本名で書かれていた)
您好!
来函收悉! 欢迎您来东北财经大学学习汉语。
(中略)
预祝学习顺利!
(こんにちは。
お手紙拝見しました。あなたが東北財経大学に来て中国語を学ばれることを歓迎します。
…学習が順調にいくことをお祈りいたします)
西安交通大学には無かった心遣いだった。この手紙で、私の心は東北財経大学に固まった。
ただ、その手紙には一つ、気になるくだりがあった。
「我が校では入学申請時に健康診断書は必要ありませんので(中国到着の後、改めて身体検査をすることになります)、健康診断用紙は送付しません」
そんなことを言われても、Xビザ(※「ビザ取得」参照)を取得する時に、健康診断書が必要になるではないか。取りあえず、ビザのための健康診断用紙は、西安交通大学から送られてきたものを使うことにした。(健康診断書の様式は、中国全大学で共通である)
申請時に必要なのは、入学申請書のほか、卒業・成績証明書、手続料50米ドルだ。(大学によっては推薦書が必要な場合もある)。まずは母校に赴いて証明書を申請し、できたら後日郵送してくれるよう頼んだ。手続料は郵便局の国際送金を利用した。
やがて、母校から証明書が届いた。あとは、入学申請書に必要事項を記入し、決められた期日にとどくように、必要書類一式を郵送するだけだ
そして書類を送付してから約2週間後、入学通知証とJW202表(入学許可証)が届いた。
3.健康診断
入学申請時に健康診断書が必要な場合(例えば西安交通大学の場合、入学申請時にパスポートと健康診断書のコピーを送らなければならない)には、急いで健康診断を受けなければならないが、私の場合は、ビザ申請に間に合えばいい。12月下旬某日午前、名古屋市内の日赤病院に赴いた。
まず一般内科で診断を申し込んだ後、心電図、血液・尿検査、皮膚科、眼科、耳鼻科、胸部X線と、実にあちこち歩きまわされた。最後に一般内科へと戻り、身長・体重・血圧測定と問診を受ける。
「今の健康状態ですけど、少し風邪をひいておられますね…まあ、『問題なし』ということにしておきましょう」(おいおい)
これで、診断終了。年明けに受け取り、ということになったが「顔写真がないといけませんので、受け取りの時に貼ってきて下さい」と、用紙を返された。
あとは料金を支払うだけだが、健康保険が適用されなかったため、しめて3万円也!! 財布の中がすっからかんになってしまった。
年が明けて、写真を貼り付けた用紙を持参して、再び病院へ。必要事項を記入してもらい、無事、健康診断表と診断のオリジナルを受け取った。
<後日談>
現地での開学式の後、会場に「以上の者は明日健康診断を受けてください」という紙が貼られた。全員ではなく、僅かな人数だ。しかし、その中に私の名前が入っているではないか。
「何故だ。ここに到着した時、健康診断書は出したぞ」と、同じ疑問を抱いた同学と一緒に問い合わせに行くと「国立病院の診断書でないとだめだ」と言う。それならそうと、学校案内か何かで、先にそう説明しておいてほしかった。
確かに、赤十字病院は赤十字社の病院であって、国立病院ではない。
これから留学に行かれる方には、国立病院で健康診断を受けることを、強く勧めたい。
中国へ行くためのビザには、幾つか種類がある。これまでの中国旅行で私が取得していたのは、30日有効の観光ビザ(Lビザ)だが、この他にも、180日以内の留学や出張のための訪問ビザ(Fビザ)、181日以上の留学のための学生ビザ(Xビザ)などがある。
今回必要なのはこのうち、Xビザだ。Xビザ取得に必要な書類は、留学期間+1ヵ月以上有効期間が残っているパスポート、入学通知書、JW202表、健康診断書、健康診断のオリジナル(忘れやすい、注意!)、ビザ申請書(大使館や領事館にある)だ。
申請先は、東京の中国大使館領事部と、札幌、大阪、福岡、長崎の各領事館で、窓口が開いているのは午前中のみ。私が住んでいた名古屋からは大阪が一番近いのだが、実家が東京にあるので、帰省がてら東京へ赴くことにした。
当初は1月下旬に行くつもりにしていたのだが、あいにく春節(旧正月)と重なってしまい、大使館も休み。仕方ない。大使館行きは、2月2日にずれこんだ。
大使館2階にそなえてある申請書に必要事項を記入し、写真を貼り付けて窓口へ行くと「一部ずつコピーをしてきて下さい」と言われた。一応、コピーはとってきてあるのだが、表裏両方ある健康診断書は両面コピーでないとだめだという。しかも、健康診断のオリジナルも全部コピーしてこい、というので、えらく時間がかかってしまった。
パスポートとビザ申請書以外の書類のオリジナルを返してもらって、この日の手続は終了。5日で受け取ることができるようだったが、諸般の事情で1週間後、再び東京を訪れることにする。
受け取りは1階の窓口で。3000円分のチケットを自動販売機で購入して、それと引換証を窓口に出して、ビザが貼り付けられたパスポートを受け取る。申請時の係官は日本人で、比較的丁寧だったが、こちらの係官は中国人。いかにも中国人らしい超事務的な応対だった。
なお、Xビザ自体の有効期間は3か月だけなのだが、長期留学の場合、現地で居留証を取れば、それは問題ない。
<注>
Xビザは現在、かつてのXビザと外国人居留証の両方の役割を持った「外国人居留許可証」に移行しています。このため、申請方法も上述のものから変化している可能性があります。
さて、これで留学そのものに必要な手続きは全て完了したのだが、日本から海外に移住するのだ。その方面でも諸手続きが必要になる。
まずは中国への移動手段。これを確保しないと始まらない。WEB上で、燕京号の乗船を申し込んだ。
次に海外旅行保険。JTBに行けば、保険だけでも受け付けてくれるというので名古屋市内の支店に行ってみたが、留学用の保険は一般の旅行のものとは異なるもので、本社から申込用紙を取り寄せることに。結局、用紙が届いてからもう一度赴き、さらに証書は東京からしか発行しないというので、証書を受け取りにさらに一度、計3度足を運ぶはめになった。
郵便局や銀行、生命保険などの住所変更は、実家宛てにしておいて、必要なものは実家からまとめて送ってもらうことにした。また、保険に関しては、留学中に満期になるものがあったので、親を返戻金の受け取り代理人に立てる手続きを取っておいた。
それから、電話やNHK、電気、ガスを止める手続きも、忘れてはいけない。
私が心配していたのは、クレジットカードだ。会社を辞めてしまったので、一定の収入が無くなる。会員権は、大丈夫だろうか。JCBとOricoの窓口に行って問い合わせてみたところ「問題ない」の返事。よかった。
一番大事なのが、役所での手続きだ。海外移住手続きのほか、国民健康保険、国民年金の料金支払いストップの申請、金額が確定していない昨年分の市民税を支払うための代理人を立てる(これも親に頼んだ)手続き――とにかく煩雑だ
そして、留学先に持っていかない荷物をどうするか。一部は実家に預けたりリサイクルショップに売ったりしたが、それでも結構な量だ。そこで押し入れ3個分で月々15000円のトランクルームに預けることにする。出発2日前に荷物を搬出してもらい、その夜は市内のホテルに泊まった。
翌日、すなわち出発前日、最後に行ったのが、アパートの引き払いだ。ここで暮らしていたのは2年程だけだったが、結構傷んでしまった。覚悟はしていたが、敷金は1円も戻ってこなかった。
さあ、これで準備万端。いざ、出発だ!
