個人旅行のツボ

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中国旅行の心得

一.焦るな!

中国ではまだまだ、日本と比べて対応が遅い。店などでも、社会主義時代の名残りか、同僚と談笑しながらのんびりと働いている者も少なくない。
また交通機関も、飛行機や上海のリニアなどを除くと総じて遅い。長距離列車は大部分が電化されておらず、スピードは出ない。長距離バスは、高速が通じていなければ、遅いのは勿論、道が整備されておらずガタガタと音を立てて進むこともある。田舎に行けば、牛や羊に道を遮られることだってある。ミニバスに至っては、客が集まらないと発車しないことがあり、出発する前からイライラさせられる。
列車や長距離バスを買うにも根気が必要だ。時と場所によっては、長時間並ばなければならない(その一つの理由に、中国人は切符一つ買うにしても「何時に着くんだ?」「他の切符は無いのか?」などと随分時間をかけるということがある)。その結果希望の切符が買える、などという保証はどこにも無い。

そんな時、焦る気持ちはよく分かる。しかし、焦ったところで事態が好転する訳ではない。気持ちをすり減らして気疲れするのが関の山である。

気持ちを広く持て! のんびりと行こう!

命に関わるとか、帰国の飛行機に間に合わないとかいうのでない限り、ゆったりと中国の旅を味わおうではないか。

一.耐えろ! 慣れろ!

中国の乗り物やホテルはピンからキリまであるが、安いものになると時としてかなりきつものもある。
乗り物の場合、列車の硬座はリクライニングも無く、これで車内泊となるとかなりきつい。長距離バスは日本のものに比べて座席は硬く、足元も狭いことが多い。寝台バスはベッドが狭く、舗装状態の悪い道に入ったら最後、落ち着いて寝られたものではない。夏あるいは冬に空調の無い車両に乗った日には、たまったものではない。
ホテルの場合、安宿はぼろい、サービスが悪いというのは言うまでも無く、冷暖房が完備されていない、夏の南方だと蚊が多くて蚊取り線香なしではやっていられない、ということもある。ちなみに、バスタブは最初から期待しない方が無難である。中国人は湯船につかるという習慣がほとんど無いのだ。

そういう旅が嫌であれば、ツアーに参加するか、個人旅行の場合は列車は軟臥、バスは豪華バス、ホテルは四つ星、五つ星を選べばいい。
しかし、長期旅行、貧乏旅行の場合、上記のようなケースは避けて通ることができない。そんな人たちに言う言葉があるとすれば…

耐えなさい、慣れなさい

もはや、これしかない。
逆に言えば、これを乗り切ることができれば、一人前の中国旅行者・一人前のバックパッカーということである。

一.負けるな!

一時に比べればマシになったが、中国人の公共マナーは私が訪れたことのある国の中では最低ランクである。
一番タチが悪いのは、並ばないこと。列車やバスの切符売り場での割り込みは日常茶飯事だし(現在では結構うるさくなってきているが、それでも割り込んでくる輩は少なくない)、乗降口では我先にと人が押し寄せてカオスな状態になる。
もう一つ。譲らない(ただし、バスなどの車内でお年寄りに席を譲るマナーは日本以上に徹底されている)。上記の“乗降口のカオス”の原因の一つもこれであるし、道を歩く時、言い争いの時など、さまざまな場面で譲らない。
それから、マナーとは違うが、押しが強い。それにしつこいがプラスされると最悪だ。客引きや店の従業員、街のぼったくりなどにとどまらず、一般の中国人と話をしていてもそれを感じることは非常に多い。因縁をつけられた日には、多少のことでは振り切ることはできない(こういう場合、私は日本語でまくしたてて煙に巻いている)。

こうしたことにうんざりすること、押し切られることもあるだろう。それを防ぐためには…

自分も中国人並みのたくましさを身に付けて、中国人に負けないこと

これに尽きるだろう。中国人は決して仲良くする相手ではない。闘う相手であるのみだ。
特に言い争いの場合、不用意に“对不起(duì bu qǐ すみません)などと言ってはいけない。中国語の“对不起”は「責任は全面的に私にあります。あなたには何の責任もありません」という意味になり、これを言った時点で言い争いに負けたことになる。

一.騙されるな!

悲しいことだが、特に外国人と見るとペテンにかけようとする、ぼったくろうと近づいてくる輩は多い。
これについては、対処法は簡単だ。

向こうから声をかけてくる者は相手にしない、あるいは警戒心を最大値に

ことに客引き、白タク、物売りなどに関しては、後者は必要ない。“相手にしない”だけで十分だ。
特に、

最初から日本語で話しかけてくる中国人は完全無視すべし

例:
  「私は日本語を勉強しています…」
  「安いヨ!」
  「タクシー?」

ただし、一つだけ例外がある。宿の客引きだ。宿が見つからない場合、夜遅くに到着して宿の当てが無い場合は利用価値がある。
利用する際は、まず宿代を確認し、それから外国人でも泊まれるかを確認する。宿に着いたら宿代を再確認し、チェックインする前に部屋を見せてもらうことをお忘れなく。

一.盗まれるな!

中国は広い。治安のいい街もあれば治安の悪い街もある。しかし、街ごとに意識を切り替えるのも簡単ではないので、常に気持ちを“治安の悪い”モードにしておくのが無難だ。
スリや置き引きに遭わないための心構えは

荷物を目の届かない所に置かない
貴重品はかばんの一番奥か腹巻などに入れる
バスなどではリュックやショルダーバッグは体の前に回す

ごく基本的な内容ばかりだが、念のため。

一.車に注意!

日本の交通は、徹底した歩行者優先だ。「信号無視をした歩行者をはねても運転者の責任」などというは、はっきり言って度を過ぎている。

中国も、法律上は歩行者優先らしい。しかし現実は、典型的な車優先社会だ。
歩行者がいても車は最徐行しようとはしない。
逆に、歩行者に向けてクラクションを鳴らす。
また、
赤信号でも右折はOK。青信号を渡る歩行者がいても容赦なく右折してくる。

では、一方の歩行者はと言うと、地域にもよるのだが、こちらも負けてはいない。
横断歩道の無い所であろうと気ままに道路を渡る。
歩行者信号は守らない。
という光景を実によく目にする。

要は、上にも書いたように、車も歩行者もお互いに“譲らない”ということだ。

以上のことから、注意すべき点は…

車は歩行者を見ても止まろうとしないことを肝に銘じる
右折車に注意
中国人歩行者の真似はしない

といったところか。

一.入乡随俗?

入乡随俗(rù xiāng suí sú)”とは、日本語の「郷に入りては郷に従え」に当たる。

確かに、「焦るな!」「耐えろ! 慣れろ!」「負けるな!」などの部分では、「ここは中国なのだから」あるいは「中国人になり切れ!」というような内容も書いた。
しかし、果たして全てにおいて「郷に入りては郷に従え」でいいのか?

答えは“不是(No)”である。

中国人が並ばないからと言って、自分も並ばないでいい、ということではない。
中国人が信号無視をするからと言って、自分も無視していい、ということではない。

入乡随俗”も、自分のモラル、国際的な常識などを基に線引きをして実行すべきである。

*          *          *

以上、中国を旅するに際して必要と思われる心構えを私なりにまとめてみた。

お断りしておくが、上記の心得は主に個人旅行者・バックパッカーを対象にしている。旅行社が企画したパックツアーに参加するのであれば、ここまで気を配ることもない。
しかし、いずれにしても、文化も言葉も習慣も違う異国に行くのである。そのあたりを忘れずに旅に出てほしい。

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