個人旅行のツボ

 1週間で中国・三峡下り

《2000年3月2日》

先日(2000年2月)出た「Newton」で、「帰らざる三峡」を特集していた。
――憧れの三峡下りが、もうすぐできなくなる…。そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
これで次の中国旅行の行き先は決まり――三峡下りだ。

しかし、1週間で行けだろうか…。
三峡下りをするには、四川省の重慶までいかなければならず、しかも、パックツアーではなく、個人旅行がしたい。
調査を始めるまでは、「そんなの無理だろうなあ」と思っていた。
ところが、わが町名古屋からの便を調べてみると、何とその重慶まで飛んでいる便があるではないか。

まずは、中国入りの手段は決まった。

三峡下りは、重慶から武漢までを船で長江を下る旅だ。
2泊3日の定期快速も運行しているが、これはどちらかと言うと、観光用と言うよりも、現地の人の移動手段といった感じ。やはり観光をするなら、3泊4日は欲しい。
船旅の終着点・武漢からは、上海への飛行機が毎日出ているし、その上海からは名古屋への便が毎日出ている。

よし、これで計画は決まった。

地図
【計画1】
1日目13:40 名古屋発、17:15 重慶着
2日目早朝、船に乗りこみ重慶発
3日目
 | 三峡下り
4日目
5日目武漢着
6日目飛行機で武漢発、上海に到着後、市内観光
7日目上海市内観光後、17:35 上海発、20:30 名古屋着

うん、我ながら完璧な計画だ!…と思ったが、実はこの計画には、大きな欠陥があった。
問題は、2日目と6日目の計画である。
夕方に重慶に着いて翌日出発の三峡下り…。

――切符取れるか?

武漢に着いた翌日に飛行機で上海に向かう、という計画もしかり、である。
そんなの事前に予約しときゃいいじゃないか」 という声が聞こえてきそうである。
しかし私には、旅行をする際、行きと帰りの飛行機のチケット以外、ホテルも交通機関も、予約は一切せず、現地で調達するというこだわり(いや悪い癖?)があるのだ。(国内旅行に至っては、行き帰りの交通機関の予約すらしないことも多い)
行った先で気の向くまま計画を変えられるという自由さがあるので、この旅のスタイルはかなり気に入っているのだが、とうとうこのスタイルを捨てる時が来てしまったのか…

他に手はないか? もう1度、手元の資料を調べてみた。

あった!

武漢から福岡へ、直行便が飛んでいる。ということで、

【計画2】
1日目 13:40 名古屋発、17:15 重慶着
2日目 重慶市内観光
3日目 船に乗りこみ重慶発
4日目
 |  三峡下り
5日目
6日目 武漢着
7日目 11:10 武漢発、14:30 福岡着

よし、これでゆとりを持って旅ができる。
しかし、これでは、上海を訪れることができない…。
1度行ったことはあるものの、あれはもう9年前。立派なタワーが建つなど、あの頃とはかなり様子が変わっているらしいので、やっぱり行きたい…。逆に、重慶の街にはあまり興味が無い。

自分の旅のスタイルを今回は捨てるか、上海再訪問を捨てるか…。
前者を選ぶべきなのは分かっちゃいるのだが、悩みは止まらない。

《8月26日》

その後の調査で、1週間から8日にかけての三峡下りツアーが色々な旅行社によって組まれていることが分かった。どうやら、1週間で三峡下りは、それ程難しいことではないようだ。
職場の上司から、8日間休みの許可が下りたため、日程にもゆとりができた。
しかし同時に、もう一つの大きな問題が浮上してきた。

船の選択という問題である。

三峡下りの船は数多くあれど、船によって立ち寄る場所が異なってくるのだ。
主な寄港地は、(西から)次の通りである。

豊都(『鬼城』がある)、石宝寨万県奉節(『白帝城』がある)、巫山(ここで小舟に乗り換えて『小三峡』を遊覧する)、(屈原の故郷)、神農渓(小三峡に似た渓谷)、三峡ダム宜昌荊州(関羽の築いた城がある)赤壁(三国志の古戦場)、岳陽武漢(終点)

この中から2~4をピックアップして立ち寄ることになる。この中で、私がいってみたいのは…
(優先順に)赤壁、小三峡、荊州、奉節、といったところか。
まあ、私は劉備嫌いなので、白帝城などは都合がつかなければ行かなくてもいい。
何日に出港するどの船が、どの場所に立ち寄るのか、まずそれを確かめなければ…。
そこで私がお世話になったのが、ケイアイイーチャイナという旅行社だ。ここの所長さんから、三峡の船の時刻表と出港スケジュールのコピーを頂いた。それを持ち帰って、さて、品定めだ。

名古屋-重慶の便は、火曜日と金曜日しかない。それに、上に書いたスケジュールに加え、「どうせ重慶に行くなら、日帰りで大足にも行ってみたいな」ということで、出港日は、木曜日と日曜日に絞り込まれた。
これらの条件を満たす船は…

無い!

まず第一に、赤壁に止まる船が一つも無い。その上、荊州に止まるもかなり少ない
「よし、それなら赤壁と荊州は自分の足で行こう
荊州や宜昌が終点の船もあることだ。宜昌も荊州に程近く、ここで降りてもほとんど同じだ。赤壁には、武漢から日帰りツアーが出ているらしいので、これを利用することにしよう。
――と思ったが、これでは上海を出発するのが9日目になりかねない。 武漢-福岡の便とも、スケジュールが合わない。 私に許された期日は、8日だけだ。
「どうしようか…」としばらく考えるうちに、コペルニクス的発想の転換が、頭の中に降ってわいた。

上りの船のスケジュールはどうだ?

下りに比べて、上りは当然、スピードが遅いが、上海をあきらめてしまえば、何とかなるのではないか。
旅行社に問い合わせもした結果、ちょうどいい船が見つかった。
次のような日程だ。

【計画3】
9月22日(金) 15:30 福岡発(CZ334)、17:00 武漢着
23日(土) 赤壁日帰りツアー
24日(日) 武漢―(バス)→荊州(市内観光)→宜昌(招商号乗船、船内泊)
25日(月) 出港、西陵峡、巫峡通過、巫山夜 泊
26日(火) 小三峡遊覧、瞿塘峡通過
27日(水) 豊都観光
28日(木) 早朝 重慶下船、大足日帰り
29日(金) 8:10 重慶発(SZ441)、13:00 名古屋着

(福岡発にしたのは、名古屋-上海-武漢にすると、武漢に着くのが夜の8時過ぎになってしまうため。
豊都は、私にとってはどうでもいいのだが、ここにはどの船も立ち寄るのである)

このスケジュールで、この日予約を済ませた。
1週間から8日間になり、上海を諦め、船も日本で予約…。
当初の計画とは、随分変わってしまったが、所詮、机上旅行は机上旅行だ。

《9月10日》

さて、日程も行程も決まった、と思った矢先に、くだんの旅行社から電話が入った。

「申し訳ありません。お申し込みの招商号ですが、9月下旬から『宜昌三峡旅游祭』なるものがあって、 その行事のために貸し切り状態になっていた、と現地から連絡が入ってきました」

な、何~ッ!!

今さら休みの日を変えることもできない。かと言って、周りの人たちにも「三峡に行く!」と宣言してもいるので、三峡にはどうしても行きたい。
三たび、旅行社に足を向け、日程最優先、寄港地は不問と、条件を大幅に緩和して再度、船探しを依頼した。

最悪の場合、三峡下りを諦めて、成都や峨眉山などの四川省巡りに切り替えることも考えていたが、数日後、「重慶-宜昌の船が見つかった」というメールが届いた。
その結果、(今度こそ)次のような計画で確定した。

【計画4】
9月22日(金) 13:40 名古屋発(SZ442)、17:15 重慶着
23日(土) 大足日帰り、22:00、「昭君号」重慶発
24日(日) 豊都観光、石宝寨観光
25日(月) 小三峡遊覧
26日(火) 10:00 宜昌で下船、宜昌・荊州観光
27日(水) 荊州―(バス)→武漢
28日(木) 赤壁日帰り
29日(金) 11:10 武漢発(CZ333)、14:30 福岡着

さらに数日後、請求書が郵送されてきた。ということは、予約OKなのだろう。
(航空券、船のチケット、ビザ取得手数料、合わせてほぼ12万円)

随分ドタバタとしたが、ようやく落ち着いた。

さあ、三峡が私を待っている!

(旅の様子については、「中国旅日記重慶―三峡―赤壁」をご覧下さい)

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