世界への旅(旅行記)
大同・2 ~事件再来
大同駅に戻り、先程の旅行社へ。北京行きの切符は、無事取れていた。しかも、私の一番好きな中臥(3段ベッドの真ん中)である。中臥が残っているのに、なぜ切符売り場で「没有」だったのか、少々疑問が残ったが、ともかく、これで北京に行くことができる。
安心すると、腹がへってきた。私は街中で夕食をとることにした。
安心すると、腹がへってきた。私は街中で夕食をとることにした。
米飯と魚香肉絲と、ラベルに雲崗石窟第20窟の仏像の写真が印刷された大同ビールを腹に収めた私は、満足して大同駅に歩いて向かった。
道中、1人の男とすれ違いざまに、腕が少しだけぶつかってしまった。成都での出来事を一瞬思い出した私は「やばいかな」と思いつつ、そんなに激しくぶつかった訳でもないので、そのまま通り過ぎようとした。
「おい、ちょっと待ちやがれ!」
一瞬の嫌な予感が当たってしまった。そいつは成都で出くわしたあのチンピラ野郎と同類だった。しかしそれだけ怒鳴り散らされようと、私には勿論、謝る気など毛頭無い。その程度のことで烈火の如く怒る方が、頭がどうかしているのだ。私は前回同様、日本語の罵人話をそいつに浴びせかけて、うまく煙に巻くことができた。
道中、1人の男とすれ違いざまに、腕が少しだけぶつかってしまった。成都での出来事を一瞬思い出した私は「やばいかな」と思いつつ、そんなに激しくぶつかった訳でもないので、そのまま通り過ぎようとした。
「おい、ちょっと待ちやがれ!」
一瞬の嫌な予感が当たってしまった。そいつは成都で出くわしたあのチンピラ野郎と同類だった。しかしそれだけ怒鳴り散らされようと、私には勿論、謝る気など毛頭無い。その程度のことで烈火の如く怒る方が、頭がどうかしているのだ。私は前回同様、日本語の罵人話をそいつに浴びせかけて、うまく煙に巻くことができた。
(奴ら一体、何なんだよ!)
雲崗石窟での感動も、北京行きの切符が取れた喜びも、一瞬にして台無しになってしまった。いや、それ以上に、九寨溝ツアー以来のいらだちが爆発してしまった。この時、私は完全に、中国人に対して不信感を募らせていた。
中国人の全てがそんな奴らばかりである訳ではないことは、百も承知だ。
日本人にだって、そういった悪質な奴らはたくさんいる。しかし、私は完全に、冷静な気持ちを失っていた。下手をすれば、このまま留学を放棄して日本に帰りかねないほど、私の頭は沸騰していた。
しかし、私をそうした状況から救ってくれたのも、やはり中国人だった。
雲崗石窟での感動も、北京行きの切符が取れた喜びも、一瞬にして台無しになってしまった。いや、それ以上に、九寨溝ツアー以来のいらだちが爆発してしまった。この時、私は完全に、中国人に対して不信感を募らせていた。
中国人の全てがそんな奴らばかりである訳ではないことは、百も承知だ。
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| 大道駅で再会した男性が 雲崗石窟で撮ってくれた写真 |
しかし、私をそうした状況から救ってくれたのも、やはり中国人だった。
不機嫌なまま大同駅の待合室で北京行きの列車を待っていると、3人程の中国人が、私の方を見て何か話をしている。
(じろじろ見てんじゃねえよ)
誰にも気を許せなくなっていた私は、そんなことを心の中でつぶやいていた。
「おおい、君!」彼らのうちの1人が私に近づいて話し掛けてくる。
「え?」「忘れたのかい? ほら、写真を撮った…」「あっ!」
そうだ。彼は雲崗石窟の第4窟で、私が写真を撮るようにお願いした、一眼レフの男性だ。彼の快活な人柄に引き込まれるかのように、私はつい今しがたまでの嫌な気分を忘れて、知らず知らずのうちに彼との中国語会話に熱中していた。
立派な一眼レフを持っていたのでカメラマンかと思っていたが、彼は北京に住む学校の先生だった。彼とどんな話をしたのか、今はもう覚えていない。しかし、大連を目前にして、危なく後味の悪い旅の終わり方をするところだったのを、時間こそ短かったものの、彼と楽しく会話ができたことで、免れることができた。
(じろじろ見てんじゃねえよ)
誰にも気を許せなくなっていた私は、そんなことを心の中でつぶやいていた。
「おおい、君!」彼らのうちの1人が私に近づいて話し掛けてくる。
「え?」「忘れたのかい? ほら、写真を撮った…」「あっ!」
そうだ。彼は雲崗石窟の第4窟で、私が写真を撮るようにお願いした、一眼レフの男性だ。彼の快活な人柄に引き込まれるかのように、私はつい今しがたまでの嫌な気分を忘れて、知らず知らずのうちに彼との中国語会話に熱中していた。
立派な一眼レフを持っていたのでカメラマンかと思っていたが、彼は北京に住む学校の先生だった。彼とどんな話をしたのか、今はもう覚えていない。しかし、大連を目前にして、危なく後味の悪い旅の終わり方をするところだったのを、時間こそ短かったものの、彼と楽しく会話ができたことで、免れることができた。

