世界への旅(旅行記)
景徳鎮 ~余り歩き回れず
2002年4月29日
黄山から次の目的地・江西省の景徳鎮へはバスか列車での移動になるが、黄山始発の列車は無く、座席が空いていない可能性があるため、まずはバスを利用することを考えた。しかし、景徳鎮行きのバスは1日に早朝の1本しかなく、既に出発していた。止むを得ない。列車を利用することにしたが、手に入れた切符は当然のように“無座”。しかも待合室は、人で溢れかえっている。椅子に座るのは難しいかと思っていたが、そこにいた人のほとんどは上海行きの列車に乗る客だった。私が利用した2025次廈門行きに乗る乗客は少なく、しかも車内泊を終わらせた乗客もかなり降りたらしく、硬座の車両はがら空きで、本来は指定席のところが、完全に自由席状態。余裕で座ることができた。
座席で本を読んだり寝転がったりすること3時間。列車は10時半すぎに景徳鎮に到着した。
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| 景徳鎮の陶器市 |
景徳鎮飯店というホテルに泊まろうと、バスで街中まで出るが、あるべき場所は空き地になっていた。近くに別の適当なホテルも見つからない。私は駅とバスターミナルの近くまで引き返し、街中に行く途中で見かけた重陽賓館(128元)にチェックインした。
比較的涼しかった黄山に比べ、ここ景徳鎮は結構蒸し暑い。部屋のクーラーを効かせて一休みした後、私は再度、街中に出かけた。
街中にはところどころに陶器市があり、真っ白な陶器が軒先に幾つも並んでいる。壷や食器などの実用的なものばかりではなく、犬や機器猫(ドラえもん)などの陶器の置き物もあり、見ていて面白い。しかし、それ程賑わっているわけでもなく、この街の非常に淡々とした日常の光景、といった印象だ。
景徳鎮には、やはり陶器の街らしく、陶器博物館が幾つかある。わたしはそのうち、繁華街近くにある景徳鎮陶瓷館を訪れた。景徳鎮の制陶の歴史や、価値の高い陶磁器の作品などが数多く展示されている。展示の説明によると、景徳鎮の陶磁器は宋代には既に、現代の国際水準に達していたという。“景徳鎮”が陶磁器の代名詞にもなっている訳だ。
展示品の中でも特に私の目を引いたのが、陶器の龍船だ。船の外観ばかりでなく、中にいる乗客が外の景色を眺めたり椅子に座って新聞を読んだりしている姿が、極めて精巧に再現されている。一瞬、陶磁器ではなく彫刻なのではないかと思ったぐらいだ。“陶芸”が一つの芸術ジャンルとして確立されている所以(ゆえん)が、そこにはあった。
他にも陶磁器の博物館は幾つかあるのだが、街中からはやや離れた場所にある。昨日黄山に登ったばかりで、特にふくらはぎに疲れがたまっていた私は、余り精力的に景徳鎮巡りをすることができず、それらの博物館には行けずじまいだった。
昔の窯跡なども公開されている所などにも行っていたなら、景徳鎮を“観光”したという気分はもっと膨らんでいただろう。しかし、私の景徳鎮に対する印象は「観光都市ではなく産業都市」というものだった。確かに陶磁器の店や陶器市などは、景徳鎮が陶器の街であることを実感させてくれる。しかし、陶磁器を売り物に観光客を呼び寄せる、というアピールは余り感じられなかった。“景徳鎮”が世界に名だたるブランドだけに、何とももったいない気がする。

