バス憧れの大地へ
        世界を目指しての旅行記ほか by カズ@憧れの大地 

世界への旅(旅行記)

中国・河北、河南

  井陘 ~背水の陣

石家荘の西郊外に、井陘という県がある(中国の“県”は市よりも小さい)。この街の名を聞いたことのある人は少ないかもしれないが「背水の陣」という言葉なら、聞いたことがあることだろう。2200年の昔、漢の始祖である劉邦の武将・韓信が川を背に陣を引き、兵士たちに決死の覚悟を決めさせた故事である。その陣が引かれた地が、井陘にあるというのである。
ホテルで背水への行き方を教えてもらったところ、市の西にある南王バスターミナルから井陘行きのバスが出ているというので、そこからいざ、背水を目指して出発した。

石家荘から井陘への道は、重工業地帯だった。おまけに、井陘は炭鉱の街らしい。空気がどんどん、どんよりとなってくる。

バスは井陘に入り、細い川のわきにあるバスターミナルのような場所を通り過ぎ、更に奥へと進んでいく。
背水の陣の詳しい場所は情報が足りず、簡単な地図があるだけなのだが、その地図から、井陘の街中から離れた所にある、と判断した私は、終点まで乗った。
そこから更に、市バスに乗って更に奥へと進む。畑以外、ほとんど何も無い。やがてそのバスも終点に着き、そこからは歩いて進む。
それにしても、本当にこの道で合っているのだろうか――心配になってきたところで、高速道路に突き当たった。
慌てて地図を出して、確認した。市街地が、背水の陣と高速道路に挟まれる格好になっている。
逆方向だ!
またやってしまった。慌てて来た道を引き返し、バスが来たところで乗り込んだ。
バスが井陘の市街地に到着したところで、車掌の小姐に数少ない手掛かりである、Webページをプリントアウトしたものに載っている写真を見せて「これはどこだ?」と尋ねてみた。彼女は、乗り合わせていた同僚にも聞いた後「バスを降りて、あの道をまっすぐ行ってから左に曲がってください」と教えてくれた。
背水
川は細くなり、“背水”の故事の面影は無い
私はバスを降りて、その言葉に従って足を運んだ。

到着した場所は、先程石家荘からのバスが通過した、バスターミナルのような場所だった。客待ちの輪タクもある。輪タクの運転手なら、知っているだろう。私は先程も使ったWebページをプリントアウトしたものを見せて尋ねた。
「この場所、知ってますか?」
「この場所?――ああ、これね。ここだよ

――え、ここ

「ほら、あそこの建物の陰に中国銀行の看板があるだろう(写真中央左寄りの、建物の間)。あれがこの写真の中国銀行だよ」
そう言われてみると、確かにこの場所だ。石碑のようなものも見える(写真右)。しかし、手元の写真とは大きく変わっている。先程バスで通過した時に気が付かなかったはずである。いずれにせよ、恐ろしく時間を浪費してしまった。
それにしても、兵士たちに決死の覚悟をさせたとは思えない程、狭い川だ。或いは、2200年という年月がこの川の形を変えてしまったのだろうか。

教えてもらったお礼に、石家荘行きのバスが出ている所までその輪タクに乗せてもらうことにした。道を間違えた時にはこの日のうちに石家荘に戻れないのではないか、目的を達成できないのではないかと心配したが、いずれも無事クリアすることができた。

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