世界への旅(旅行記)
三江・1~トン族の風雨橋
2005年5月2日
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| 程陽風雨橋 |
心配していた雨は、朝までに止んでくれた。雨具を持参する必要はあるだろうが、ともかくこれで、心置きなく三江巡りができる。
トン(侗)族独自の建築物には、鼓楼の他に風雨橋がある。橋脚の上に瓦葺の楼が一つずつ並んで建てられている様式のもので、特に林渓河沿いに北へ20km行ったところにある程陽風雨橋は、外観の見事さもさることながら、釘を1本も使っていないということで、風物としても建築物としても貴重な存在となっている。周りが田園風景なのもいい。ゆったり回る木製の水車と風雨橋が重なり合う光景は“桃源郷”という言葉がいかにも相応しく、牧歌的で心に落ち着きをもたらしてくれる。
近くにはトン族寨もあり、彼らの素朴な生活様式を垣間見ることができる。
私は幼少の頃、田園のど真ん中で暮らしていた一時期がある。無論、当時の田園風景はここまで素朴ではなかったのだが、ここに身を置いていると、原体験と言うのだろうか、懐かしさが胸にこみ上げてくる。
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| 左:水車と風雨橋の風景 右:トン族寨 |
何かが始まりそうだ――私は次へ向かおうとする足を止めて、そちらの様子にしばらく注目した。
若い男女が、ロープ状にした赤い布の両端を持って、橋の入り口の両端に立った。
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| 歌と酒で来客を迎えるトン族の姑娘たち |
やがて、姑娘たちが声を合わせて、トン族の民族歌を歌い始める。歌声の中、来客たちが1人ずつお盆を持った姑娘の前に進む。そして、お盆の上に小銭を置き、杯を1つ手にとって酒を飲み干すと、ようやく布のロープの向こうに行くことができる、という寸法だ。私も好奇心を発揮して、姑娘の前に進んで酒を頂いた。一見白酒のようだが、アルコール度数はそれ程高くない。
どうやらこれが、トン族流の来客のもてなし方のようである。お盆の上に置くお金は、1元でも2元でもよく、小銭が無ければ気持ちだけでもいいらしい。“少数民族”であることを武器に法外な料金を求めてくることも少なくない昨今、ここにはまだまだ、田園風景同様の素朴さが残っている。




